Dr.北村の「性」の診察室ブログから、ぜひ皆さんに、
ご紹介したくてここに載せます^○^!
お医者さんの立場から、医学的な説明もあり、納得です!
「慰安婦にふれず戦地より還りしと言へば
不具かと呆れられたり」
(畔上知時:『時を知る故に』、短歌新聞社、1989)。
生死をかける戦地にいたからといって、誰もが橋下徹大阪市長がコメントしたような行動をとるわけではないことをよく表しています。
僕の記憶に間違いがなければ、「兵士には慰安婦制度が必要」「米軍普天間飛行場で司令官に風俗業を活用して欲しいと言った」という彼の心ない言葉が印象深く残っています。
僕には慰安婦問題を語れるほどの知識がありませんが、猫も杓子も一緒くたにして、「男の性とはそういうものだから慰安所は不可欠だった」という彼の思い込みに、どうやって反論できるかを考えてみました。
まずは、「人間はどうしてセックスしたくなるのか?」です。
そのメカニズムは人間以外の動物とは大きく異なっています。動物のセックスは、主に性ホルモンによって支配されており、「発情期(さかり)」が現れます。
しかし、人間には発情期はなく、いつでもセックスしたいと思い、セックスができるという特徴があります。このような人間の性衝動は、「器官の要素」「外的刺激」の総和によって引き起こされると言われています。
「器官の要素」とは性ホルモン(男性ホルモン、女性ホルモン、下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン)と性中枢の働きをいいます。
性衝動とは、脳の中で生じる精神的エネルギーであり、セックスしたいのもするのも大脳の働きであると言えます。
前頭葉の刺激によって「やりたい」という思いが視床下部に伝わり、勃起や腟の濡れが引き起こされますが、その視床下部にも性欲を駆り立てる部位(内側視索前野)と性欲を抑える部位(外側視索前野)があります。
この部位は僅か数ミリを隔てて隣接しています。
交感神経(射精)や副交感神経(勃起、濡れ)という自律神経の中枢も同じ視床・視床下部にあります。
「外的刺激」とは一般にはパートナーとの接触(触覚)、アダルトサイトを見る(視覚)、よがり声を聞く(聴覚)、匂いをかぐ(嗅覚)、キスで味わう(味覚)など5感の刺激によって引き起こされます。
このように考えると、日常の景色とはあまりにも異なる戦場において、「器官の要素」と「外的刺激」が相まって、性衝動を駆り立てる可能性は十分に考えられることです。
冒頭の句にあるように、集団生活を乱す者との烙印を押されることを恐れて、やむなく慰安所を使う男性も少なくなかったでしょう。
異常な環境の中で、集団心理によって、そうすることが男性の生理として必要不可欠なのだと教えられ、思い込まされることだってあります
これなど、「精子は3日でたまるから出さずにはおれなくなる」などの非科学的な迷信を生み出す結果となっています。
その一方で、理性によって妊娠や性感染症を直視する男性もいます。
戦場ではなくても、現代であってもお金さえあれば(サービスの違いはあるものの)性風俗などを利用するチャンスは山ほどあるというのに、一向に興味を示さない男性がいます。
必ずしも性的に満たされているわけではなくても、見ず知らずの女性との性的接触に不安や恐怖を覚えているのです。
愛情のないセックスに価値を見出さないのです。
故郷に残してきた恋人や妻を裏切ることができないのです。まさに「性欲を抑える脳」が彼をしてそのような行動を取らせているのだと推測されます。
だから、その性的欲求をマスターベーションという手段で処理している人だって少なくありません。マスターベーションで妊娠や性感染症が起こることはないからです。
「第1回男女の生活と意識に関する調査」では、あなたにとってセックスとは?を尋ねたことがあります(複数回答)。ダントツの一番は男女ともに「愛情の表現」。「欲求を満たせればそれでいい」とは考えていないのですよ、
橋下徹大阪市長殿!
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